第7回 本土返還後の「香港」、今取り組んでいる最大プロジェクトとは?…
2004.02.04
サービス業が香港経済の基幹産業です
国土が狭いアジアの経済大国といえば、シンガポールの他にもう1カ国、香港があります。東京都の半分ほどの国土(1075k㎡)に680万人が住む香港は、「国民一人当りの国民総生産(GDP)」では日本に次いでアジア第2位であり、その80%がサ-ビス関連産業から生み出されています。
また全労働者の約80%が何らかのサ-ビス業に従事しており、サービス業は香港経済の基幹産業となっています。中でも観光産業は重要視されており、政府観光局は観光宣伝予算として日本の2.7倍に当る91億円を使い外国人観光客の誘致に取り組んでいます。
香港はアジアで最も人気のある観光都市であり、2001年度香港を訪れた外国人旅行者は1370万人を超え中国(3310万人)に次いでアジア第2位(1370万人)でした。同年国際旅行の収入は国際ランキング13位の82億ドル(8600億円)で、この数字はGDPが1610億ドル(17兆7000億円)ですので、その5.6%に相当します。
旅行者を国籍別にみると、「中国大陸」からの旅行者が1998年に260万人に達しそれ以降最大の訪問客となっており、以下「台湾」、「日本」、「米国」、「シンガポール」と続きます。2002年度香港を訪れた日本人は133万人で、一方の訪日旅行者は29万人でした。
昨年3月以降アジア経済に重大な影響を及ぼした「急性肺炎」(SARS)ですが、香港経済も大きな痛手を被りました。2003年の実質成長率は3.3%を達成したものの、観光などのサービス関連産業は前年度実績を大きく下回り、特に観光客の激減は深刻な問題となっていなす。
その対策として香港政府(香港特別行政区)は、今年度予算に9,500万香港ドル(12億3,500万円)を加え観光促進を図るとともに、現在進めている観光業振興計画をさらに2年間延長するなど観光復興に取り組んでいます。
「香港ディズニーランド」は香港観光の象徴となるか
香港経済が低迷している要因は、「急性肺炎」(SARS)のほかにもあります。本土返還によってその魅力が薄れたといわれる香港観光、さらには1997年から始まった東アジア金融危機による経済低迷。これらを打破するため香港政府が取り組んだのが「香港ディズニーランド」の誘致です。
ディズニー社との交渉は難航したといわれていますが、政官財一丸となって臨んだ結果何とか合意に達し、「東京」、「パリ」に続きアメリカ以外では3番目、世界では5ヶ所目となる「ディズニーランド」が香港に誕生することになりました。工事は昨年正式に着工され、2005年の開業を目指します。
総工費は277億香港ドルとされ、そのうち香港政府が224億5000万香港ドル(2,910億円)を支出し、残りをディズニー社が負担します。開業すれば1年目の来場者は500万人(340万は外国人旅行者)、83億香港ドル(1,080億円)の収入が見込めるという。
さらに20年後の見込みは、外国人入場者750万人(総入場者数1,000万人)、収入は168億香港ドル(2,180億円)というのですから、その事業計画は外国人旅行者を意識したものといえます。
「香港ディズニーランド」が開業すると…
東京ディズニーランドの外国人客は全入場者の5%とされていますが、香港ディズニーランドの場合は75%とかなり高い予測となっています。となると東京ディズニーランドに来る外国人客5%は(といっても127万人にもなり、訪日外国人観光客全体の25%に相当します)、香港と競合することになりますね。特に訪日する香港からの観光客29万人(2002年度)と中国からの45万人(2002年度)については、「ディズニーランド目当ての観光客」がかなり含まれていると思われますので、その分は全く期待できなくなります。現在「観光立国を目指している日本」ですが、それに代わる新たな観光スポットが必要になりそうです。
また香港の場合国内来場者を250万人と見込んでいますが、香港の人口(680万人)は日本(1億2,760万人)の約19分の1と少ないですから、恐らく150万人位は中国大陸から来ることになるでしょう。そうなると労働問題などいろいろ起きそうですね。中国の人口は約13億人ですから、来場者には苦労しないと思いますが。
ちなみに2003年度の「東京ディズニーランド」と「東京ディズニーシー」合わせた入場者数は2,547万人、収入は2,672億円(2002年度)でした。
将来に向けて戦略的に観光振興政策を進める香港政府ですが、それを支える観光インフラの整備にも積極的に取り組んでいます。その際たるものが1998年に開港した巨大な「香港新国際空港」で、その美しさや設備で世界最高と評価されるこの国際空港は空の玄関口として多くの外国人観光客を迎えています。
☆日本人向けの『香港政府観光局のホームページ』
http://www.discoverhongkong.com/jpn/
次回は、「韓国の観光産業」は国の柱となるか…についてご紹介します。